マーケティング業務のPDCAサイクルをPassworkを使用して効率化する
購買促進や離反防止など多様なマーケティング施策に取り組まれている皆様は、キャンペーン運用をどのように進められているでしょうか。
「誰が離反者で誰がロイヤル顧客かわからず、とりあえず同じメルマガを送っている」「手元のシステムに登録されている人に不定期でメルマガを送っている」
このような状況に直面されているマーケティングご担当者様は決して少なくありません。本来であれば、以下のような戦略的な施策を展開したいところです。
- ロイヤル顧客に特化した手厚いキャンペーンのご提案
- 離反顧客への適切なタイミングでのリテンション施策
では、なぜこうした理想的な施策の実現が困難なのでしょうか。本ブログでは、その背景を詳しく探り、実践的な解決策をご提案いたします。
解決策のゴール:ダッシュボードの絞り込み条件を維持した外部システム連携

今回構築するTableauダッシュボードをご紹介いたします。上図が完成形となります。
画面左側では、顧客一覧を散布図で可視化しております。縦軸に購入金額の増減、横軸に最終購入日からの経過日数を配置し、左上領域の優良顧客から右下領域の離反顧客まで、顧客の状況を直感的に把握できる設計となっています。
このダッシュボードの最大の特長は、「絞り込み条件を維持したまま外部システムへのデータ連携が可能」である点です。
従来、ダッシュボードから得た示唆をもとにアクションを起こす際、やはりExcelでの再集計作業が必要となり、機会損失を招いておりました。本ダッシュボードでは、絞り込み条件をそのまま外部システムに引き継ぐことで、この課題を解決しています。
実装例として、絞り込まれたデータをMAツールやSlackへ直接連携する機能を搭載いたします。
この機能はTableauダッシュボード単体では実現が困難でしたが、Passworkとの連携により効率的な実装が可能となっています。
それでは、改めて課題の本質から詳しく見てまいりましょう。
【課題】マーケティング業務を悩ます2つの課題

なぜ「ロイヤル顧客への手厚い施策実施」や「離反顧客へのリテンション施策」という基本的な取り組みが実現困難なのでしょうか。その根本的な要因は、システム基盤が整備されていないことにあります。代表的な課題を2つご紹介いたします。
分析の基盤となるデータが分散している
Salesforceのような顧客管理システムを導入していても、継続的な取引データは販売管理システムにのみ蓄積されているケースが多く見受けられます。これはBtoB、BtoC問わず頻繁に発生する問題です。
例えば、飲食店にかつお節や昆布を卸している企業を考えてみましょう。新規取引開始から安定受注に至るまでは顧客管理システムで管理されているものの、継続取引が始まると販売管理システムでの受注登録のみとなってしまうことが多いです。
こうした状況では、Salesforceと連携していない分析非対応の販売管理システムから継続状況を直感的に把握することが困難となってしまいます。
データ統合後のExcel分析による疲弊
データを統合した後も、Excel での集計作業が延々と続きます。
- 複数シートをVLOOKUPで結合
- 別Excelファイルで合計金額と購買回数を集計
- 上記2つをさらに結合
- 最終的に折衝中リストとNGリストを除外
このような煩雑な作業を日常業務で継続することは現実的ではなく、結果として場当たり的な施策に留まってしまうのが実情です。
課題解決の方針

それでは解決策についてご説明いたします。上図は今回の解決アプローチの全体像を示しております。画面左側でロイヤル顧客や離反顧客を視覚的に識別し、絞り込み後にワンクリックで次のアクションへ移行できる仕組みを構築いたします。これにより、担当者様はより本質的な分析業務に専念していただけるようになります。
以降の章では、各ステップについて詳しく説明していきます。
【解決策】Step1. データの自動集計システムを構築する

まずはデータの自動集計です。顧客管理システムであるSalesforceと販売管理システムの両方からデータを抽出し、Tableauへ連携する仕組みを構築します。
Passworkの特長は、このような迅速な連携を即座に実装できる点にあります。販売管理システムがAWS環境に配置されていても接続可能であり、大規模なDWH構築を必要とせずTableauへ直接接続できることが大きな優位性です。Passworkの詳細機能については別記事で詳述しておりますので、ここでは割愛いたします。
【解決策】Step2. 顧客の購買パターンを直感的に可視化する

データ統合後は、Tableauの優れた可視化機能を活用して顧客セグメンテーションを行います。上図の例では、合計購買金額の増減と最終購買日からの経過日数により、顧客を4つの象限に分類しています。
安全性を表す青色が集中する左上領域は、購入金額が増加傾向にあり直近でも購入している優良顧客層です。さらに円の大きさで平均購入単価を表現し、大きな円ほどロイヤル顧客であることを示しています。手厚い施策をこの層に集中させることで、高い費用対効果が期待できます。
一方、危険性を示す赤色が集中する右下領域は、最終購入から相当な時間が経過した離反顧客層と判断できます。リテンション施策はこの層への的確なアプローチが重要となります。
特筆すべきは、これらの可視化が全て自動で実行される点です。従来の手作業による時間を大幅に削減し、より本質的な分析業務に専念できる環境が実現されます。
【解決策】Step3. 絞り込んだデータをそのまま外部システムに連携する

ここからが「Tableau × Passwork」の真価を発揮する部分です。ロイヤル顧客と離反顧客を視覚的に判別できるようになったとしても、再びExcelで同じ条件での集計作業を行うのでは時間効率が悪く、実際の業務フローでは現実的ではありません。
Tableau単体では困難であった「絞り込み状態からワンクリックでの外部システム連携」を、TableauとPassworkの組み合わせにより容易に実現できます。上図ではMAシステムへの連携を、下図ではSlackへの連携を示しており、連携先はPassworkで柔軟に設定可能です。

右上のピンク色のボタンがPasswork Actionボタンです。Tableauダッシュボード内への配置位置や色調は自由にカスタマイズできます。
この例では、左側での絞り込み操作後、右側の一覧表で送信対象を詳細確認し、そのままボタンクリックで処理が完結いたします。極めて直感的な操作により、より本質的な分析業務に専念できる環境が実現されます。
【さらに】Passworkが対応する“すべて”のシステムへ連携できる

今回はMAシステムとSlackを連携例としてご紹介いたしましたが、連携先はこれらに限定されるものではありません。Passworkをハブとする構成により、Passwork対応システムであれば幅広い連携が実現できます。
例えば、予想在庫数を下回った商品をTableauで可視化し、そのまま発注システムへ追加発注を実行することや、勤怠情報をTableauで可視化後、残業時間超過の従業員情報を絞り込んで人事システムに連携することなども可能です。
まとめ
今回は、Tableau×Passwork連携によるダッシュボードの絞り込み条件を維持した外部システム連携の実装方法についてご紹介いたしました。
Tableauは卓越した可視化柔軟性を誇るダッシュボードツールです。その示唆に富んだ分析結果を、ダッシュボード上での確認に留めることなく、より手軽に実業務へ活用していただけるよう、Passwork Actionを開発いたしました。本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
Tableauの活用やデータ連携についてご相談がございましたら、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。