注文・会員・在庫 ── 自社ECの一次データは、サービスの裏で動くMySQLに毎秒書き込まれています。それなのに事業の数字を見たいときは、エンジニアにSELECT文を頼み、CSVをもらい、Excelで集計する。本記事では、この運用をなくし、基幹MySQLから前日分のデータを毎朝自動で取得してTableauのダッシュボードに変える方法を解説します。
01 「エンジニアにSELECTを頼む」運用の限界
DBに直接触れる人が限られている以上、データの取り出しは頼んだ人の作業待ちになります。依頼のたびにエンジニアの開発時間が削られ、事業側は数字が届くまで動けない ── 双方にとって損な構図です。かといって事業側全員にDBアクセスを配るのは、セキュリティ的にも負荷的にも現実的ではありません。
必要なのは、決まった取得を安全に自動化する仕組みです。「前日の注文を毎朝取得してダッシュボードを更新する」という定型作業は、人が介在する必要がそもそもありません。
02 MySQL×Tableau連携でできること
- 「前日分だけ」の定期取得:注文日などの条件にシステム変数(実行日)を差し込み、毎朝、前日分だけを自動取得できます。
- 込み入った集計はSQL直接実行で:JOINや集計を含むSELECT文をそのまま実行し、集計済みの形で取り出せます。
- オンプレ・VPC内のDBにも対応:閉じたネットワークの中のMySQLへはVPN接続でつなげます。
- Tableauへの自動反映:取得したデータをTableauのデータソースへ流し込み、ダッシュボードを毎朝更新された状態に保ちます。
03 連携の仕組み|前日分の自動取得からダッシュボード更新まで
取得(前日分をシステム変数で絞る)
「注文日=前日」の条件をシステム変数で設定し、毎朝のスケジュール実行で前日分だけを取得します。全件を読み直さないため、本番DBへの負荷も最小限です。
集計(SQL直接実行で形を作る)
日別・商品別・会員ランク別など、ダッシュボードで見たい粒度への集計はSELECT文で直接実行します。エンジニアに頼んでいたSQLを、フローの中に一度だけ書けば毎日動きます。
反映(Tableauのダッシュボードへ)
集計結果をTableauのデータソースへ自動で流し込みます。出社した時にはもう、前日の売上がダッシュボードに並んでいます。
ポイント:本番DBへの負荷を設計に織り込む
基幹DBはサービスが動いている場所です。取得は差分に絞る、重い集計は時間帯を選ぶ、参照系のクエリに限定する ── この3つを守れば、分析のための接続がサービスの邪魔をすることはありません。リードレプリカがあればそちらへ接続するのも定石です。
04 Passworkでの実現方法 ── システム変数とSQL直接実行
Passworkでは、MySQLの取得ノードに条件やSQLを設定し、Tableauへの出力ノードとつなぐだけでこのフローが完成します。システム変数が使えるため、「前日」「今月初から昨日まで」といった相対的な期間指定を一度設定すれば、あとは毎日自動で動き続けます。
取得だけでなく書き込みにも対応しているので、将来的には分析結果を会員テーブルへ書き戻すリバースETLにも同じ基盤で広げられます。フロー構築はAIとの会話からも進められ、提供元のPraztoは350社超のデータ連携・導入支援の実績で、SQL設計やダッシュボード設計から伴走します。
05 業務での具体的な活用例
ECの日次売上ダッシュボード(EC事業)
前日の注文を商品別・チャネル別に集計し、毎朝のダッシュボードに反映。「昨日何がどれだけ売れたか」を全員が同じ画面で確認してから一日を始められます。
会員の獲得・継続モニタリング(マーケティング)
会員テーブルから新規登録・休眠の推移を日次で可視化します。施策の翌日に反応が見えるため、キャンペーンの振り返りが週次から日次に変わります。
在庫と販売の突き合わせ(EC・小売)
在庫テーブルと販売実績をJOINした集計をSQL直接実行で取得し、欠品リスク・過剰在庫をダッシュボードで監視します。発注判断の材料が毎朝自動で揃います。
06 まとめ:前日の数字が、毎朝そこにある状態へ
MySQLとTableauの連携の要点は、システム変数による差分取得で本番DBにやさしく、SQL直接実行で集計済みの形を作り、毎朝のスケジュールで回すこと。エンジニアへの依頼と数字待ちの時間が消え、前日の実績が毎朝当たり前にダッシュボードに並ぶようになります。
この記事の構成図は「Passwork連携カタログ データ分析基盤編」からの抜粋です
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