鮮度と戦うバナナの販売計画を、AI予測とPassworkのデータ統合で「実数の会話」へ 〜株式会社ユニフルーティージャパン様インタビュー〜

鮮度と戦うバナナの販売計画を、AI予測とPassworkのデータ統合で「実数の会話」へ 〜株式会社ユニフルーティージャパン様インタビュー〜

バナナ・アボカドをはじめとする青果物の輸入・販売を手掛ける株式会社ユニフルーティージャパン様。鮮度が命の青果ビジネスでは、販売計画の修正が一日遅れるだけで在庫ロスや値引き販売につながります。Excelと手作業、個人の感覚に頼っていた販売予実の管理を、データの一元集約とAIによる販売予測・予実差の早期検出へと刷新。営業間の会話が「感覚」から「実数」に変わった現場の変化と、今後の展望を伺いました。

売れ行きの変化に計画の修正が追いつかなければ、在庫は日ごとに価値を失っていく ── この業界特有の切実さが、今回のプロジェクトの出発点でした。
 
ユニフルーティージャパン様には、2024年にも在庫管理システムの刷新(Heroku導入支援)について取材させていただきました。今回は、その基盤の上に構築した「販売予実差の分析システム」についての続編インタビューです。
 
お話しいただいたのは、福田 様守安 様山川 様。聞き手は、Praztoの代表の芳賀と、Sales Managerの佐藤がお送りします。

福田 喜彰(ふくだ よしあき)
オーダープロセス部 DBチーム

大学卒業後、生鮮青果物を取り扱う加工会社に入社。バナナ部門に配属となり、製造管理、生産管理など入荷から販売まで様々な業務に従事。2019年に、ユニフルーティージャパンに入社。入社時、社員が皆フレンドリーな方が多く、転職してきたよな(?)と錯覚を覚えるくらいスムーズに着任。
入社当時は基幹システムの切替真っ最中で、受注部をはじめ、営業、製造部門の様々な方と話を聞き、社内の業務を一通り把握することが出来た。その後、西日本-DB部門発足にあたり受注部より異動。東日本の部門で運用していた在庫管理システム(旧システム)を西日本のDB部門に導入。    
2022年にシステム担当の異動に伴い、在庫管理システム(旧システム)の運用管理、メンテナンス等も実施するようになった。2023年にバナナ以外の商材にも対応できる新たなる在庫管理システムを作ろうと、プロジェクトが発足し、Prazto様と出会うこととなった。
守安 大樹(もりやす ひろき)
西日本営業部
オーダープロセス部 東西DBチームリーダー

2015年にユニフルーティージャパンへ入社。西日本営業部の営業として顧客対応を行う傍ら、西日本DBオペレーションを全て1人で兼任。
2020年に西日本DBチーム発足を機にチームリーダーへ就任。2023年に新在庫管理システム移行時は営業兼DBチームとしてプロジェクトに参加。現在は営業兼東西DBチームのリーダーとしてDB全体をマネージメントしながら、入荷の安定を目指し産地と直接交渉を重ねている。東西営業DB全員の業務に欠かせない入荷情報の発信を担う。
山川 未来(やまかわ みき)
西日本営業部 オーダープロセス部 DBチーム

2015年に西日本営業部の営業アシスタントとしてユニフルーティージャパンへ入社。
2020年に西日本DBチーム発足を機にDB業務も兼任。現在は営業サポートを円滑に進めるためアシスタントを取り纏めながら、新規商材DBを担当。どんな業務も効率化し複数業務を同時に推し進められるマルチタスキングのエキスパート。
芳賀 怜史(はが さとし)
株式会社Prazto CEO

早稲田大学卒業後、SIerでエンジニアとしてキャリアをスタート。その後、外資系マーケティング会社、Salesforceゴールドパートナー企業と、3社での経験を通じて一貫してエンジニアリング技術を磨き、多くの顧客の課題解決に従事。2019年、Salesforceを中心とした導入支援・開発事業を行う株式会社Praztoを創業。2022年にSalesforceパートナーのルーキー企業として最優秀賞「Emerging Partner of the Year – Consulting –」を受賞し、創業からの4年間で年商3.7億円にまで事業を成長させる。2025年、顧客への付加価値をさらに高めるため、AIエージェントが住むデータ連携SaaS「Passwork」の事業を開始。「Technology and Design are True」というビジョンのもと、最適なシステムを提供するプロフェッショナルチームを統率している。
佐藤 舞(さとう まい)
株式会社Prazto Sales Manager

大学卒業後、接客・サービス業に約12年間従事。その後、人事へキャリアチェンジし、中小企業でひとり人事として採用・制度設計・人材育成など人事領域全般を経験。以降、メディア・広告、不動産、製造業など幅広い業界で、採用戦略の立案・実行や組織づくりを支援し、事業成長を支える人材・組織開発に携わってきた。
2023年、PraztoにHRマネージャーとしてJoinし、社員・業務委託メンバーの採用に大きく寄与。2026年よりSales Managerへ役割を移し、現在はパートナーアライアンスを中心に担当している。
01

「鮮度が落ちる前に売り切る」ビジネス ── 分断された情報と、個人の感覚に頼った販売計画

芳賀:御社のビジネスは「在庫の鮮度」という概念が非常に重要で、仕入れたものをどんどんさばかないと傷んでしまう、という特徴があるかと思います。そのなかで、今回のシステムを構築する前は、販売の予測や計画をどのように行っていて、どこに課題があったのでしょうか。
 
福田:以前から使っているシステムはあったのですが、集計はできても、それぞれの情報が分断されている状態でした。「この先どうなるか」という予測の部分は、コピー&ペーストや手作業が中心で、ある程度は個人の感覚に頼っていたのが正直なところです。
 
今回導入したシステムでは、過去の実績をきちんと閲覧できるようになりました。これまでの「あのときは、たしかこうだったよね」という感覚的な話が、実際の数を見て確認できる状態になった。情報が一か所に集約されているので、営業同士・担当者同士が、同じ数字を見ながら会話できるようになったのが大きいと思います。

この事例の構図

青果物は「売れ残り=廃棄・値引き」に直結するため、販売計画の修正スピードが利益をそのまま左右します。従来は、生産進捗・船積・販売実績といった情報がファイルとシステムに分断され、予測はExcelと個人の経験頼み。今回のプロジェクトでは、これらのデータを一つの基盤に集約し、AIによる販売予測と予実差の可視化で「計画修正の遅れ」そのものをなくすことを目指しました。

02

構築したシステムの全体像 ── 生産ファイルの取り込みからAI販売予測、Salesforceへの書き戻しまで

芳賀:今回のプロジェクトでは、販売の予実差を分析する新しいシステムをご一緒に作り上げてきました。まずは率直に、導入後の手応えをお聞かせいただけますか。
 
福田:これまで手作業やコピー&ペーストで集めていた情報が、何もしなくても毎朝そろうようになりました。それだけでも工数が大幅に削減されたと感じています。
 
芳賀:ありがとうございます。ポイントは、バラバラだったデータを自動で一つに集め、AIが販売を予測し、予実の乖離を早期に検出する── この流れを日次で自動実行することです。メールで届く生産・船積のファイルとSalesforce上の販売データを一つの基盤に集約し(この収集には弊社のデータ連携ツール「Passwork」も活用)、Pythonの予測処理が日次で販売予測を生成。予測と予実差はSalesforceに書き戻されるので、営業の皆さんの日常業務の中ですぐ確認できます

今回のPJで弊社が構築したシステム全体構成
今回のPJで弊社が構築したシステム全体構成
03

「あのときはこうだったよね」から「実数」へ ── 営業間の会話が変わった

芳賀:情報が一か所に集約されたことで、日々の業務やコミュニケーションには、どのような変化がありましたか。
 
福田:これまでは「これくらい売れていたはず」という感覚的なものが会話の起点になりがちでした。いまは実績の実数がすぐに見られるので、営業とコミュニケーションするときも「ここに数字がある」と言える。個人個人で確認するときも同じ場所を見るので、営業間・担当者間の会話が、同じ数字を土台に始まるようになりました。

 

芳賀:「感覚」を「実数」に置き換えるのは、単なる正確さの話ではないと思っていて。全員が同じ数字を見ていることで、議論が「数字の確認」ではなく「次の打ち手」から始まるようになる。情報集約のいちばん大きな効果は、この会話の質の変化に表れているのかなと思います。

04

発注の波を、瞬時に計画へ ── 在庫ロスと値引き販売を防ぐ

芳賀:日々の販売の最前線では、どのような場面で効果を感じていらっしゃいますか。
 
福田:季節によって、発注が減り始めたり増え始めたりというがどうしてもあります。減り始めたら瞬時に実績を確認して、それ以降の販売計画を修正していくのですが、以前は各営業の力量や、時間が取れるかどうかで、計画修正のタイミングが遅れることがありました。
 
いまはパッと見てすぐ分かるので、先の計画にすぐ反映できる。「もし在庫が残ってしまったらどうするか」も、すぐに考え始められるようになりました。売れ残りは値引き販売、つまり損失に直結するので、会社の数字に大きく関わる部分が改善できるという期待を持っています。
 
今後AIの精度がさらに上がって、発注が落ちる前に「落ちるだろう」と予測できるようになれば ── 謙虚な話、我々の出番が減ってしまうかもしれませんね(笑)。それくらい正確なものになっていけば、本当にありがたいと思っています。

05

Excelの二重入力を排除 ── 空いた時間を「考える時間」に

芳賀:これまで負担になっていた作業時間は、どの程度変わりましたか。
 
福田:一番大きいのは、販売計画をExcelとシステムの両方に入れていた二重入力を排除して、システムだけに一本化できたことです。Excelには Excel の良さも一部あるとは思いますが、それを差し引いても、スピード感は確実に上がりました。
 
時間で言うと、営業スタッフは10人ほどいて、細かく入れたい人・ざっと入れたい人と入力のスタイルが違うので一概には言えないのですが、週に1時間ほどかかっていた入力が半分くらいになったという者もいます。ここから使い方の共有や改善の要望が営業から出てくれば、さらにスピードは上がっていくはずです。
 
それに、単純な作業の時間は確実に取り戻せていると思います。トータルの時間は変わっていなかったとしても、その分を「考える時間」に使えるようになったのが大きいですね。

 

芳賀:私自身、システム開発の現場で日々AIを使いながら仕事をしていて、頭の使い方が大きく変わったと感じています。以前はシステムを作るとき、「この条件のときはこう」とロジックを組む部分に頭を使っていましたが、いまは叩き台はAIが作ってくれて、人間は判断と最終チェックに集中できる。数字の転記や集計といった機械的な作業から解放されると、人は本来考えるべきこと ── 計画の妥当性の判断や、先手の打ち方に頭を使えるようになりますよね。予測の叩き台はAIとシステムがつくり、人は判断とチェックに集中する。今回のシステムが目指した役割分担が、現場に定着し始めています。
 
福田:そうですね、まさにその感覚です。

06

今後の展望① ── 予測の自動反映と、アボカドへの横展開

芳賀:次のステップとしてはどのようなことを考えていらっしゃいますか。
 
福田:ここからは、お客様のいまのニーズと、この先こうなるだろうという部分、そして自社としてやりたい部分を踏まえて、さらに踏み込んだシステムに作り込めるかが次の課題だと思っています。企画によって伸ばすところと収束させるところが出てくるので、長期の予測と短期の予測、どちらに軸を置くかもご相談しながら詰めていきたいですね。
 
具体的には、いまは「予定10に対して実績が5ずつしか当たっていない」となると、システムが機械的に先の見通しを教えてくれて、「こうしたらどうですか」という提案までは出る状態です。それをプッシュするかどうかは営業判断なのですが、「これはもう確定だよね」というものは自動的に計画を更新するところまで、まずバナナでやろうとしています。そこにアボカドを乗せれば、同じ仕組みで横展開できるとも思っています。

 

芳賀:属人的なスキル差の標準化にも、この仕組みは効いてきそうですよね。新しく入った方とベテランの間には、どうしてもスキルの差がある。新しいメンバーでも、ベテランと同じ予測・同じ提案を見ながら判断できる ── 「予測の叩き台」をシステムが平等に配ることで、計画業務そのものの底上げにつながればと思っています。

07

今後の展望② ── Claude・MCPで「会話できるデータ基盤」、そして海外・経営層へ

福田:これはご相談なんですが ── いまの在庫システムは、人間が見て、入力して、考えて、アウトプットするものですよね。そこにAIのチャットボットのような形で、「この先どうなりますか」「この実績についてどう思いますか」と聞いたら、それなりの返事が返ってくる。そういう仕様や仕組みって、できたりするものなんですか。
 
芳賀:できると思いますし、すぐに試していただけます。最近はMCP(Model Context Protocol)という、AIがデータを読み取って接続するためのインターフェースの標準が整ってきていて、Claudeのような生成AIをデータ基盤につなぐと、「データに話しかけて答えをもらう」使い方ができるんです。しかも、結果が少し違ったら「ここが違うので、こういう観点でもう一度」と会話しながらブラッシュアップできて、その観点を覚えさせて育てていける。今回構築した基盤には、生産から販売までのデータがすでに一か所に集まっているので、その土台はもう整っています。あらためてClaudeとの連携をご紹介させてください。
 
福田:実は先日、別の担当から「Claudeを使ってみては」という話が出て、ちょうど調べ始めていたところだったんです。先に言っていただいたので、ぜひお願いします。
 
それから、日本以外 ── フィリピン側との情報連携も進めたいですね。いまは現地と確認しながらやり取りしているものを、システム同士を裏でつなげて、「日本の市場はいまこうなっている」を共有できる未来になれば嬉しい。可視化の面でも、いまはオペレーション部門だけが把握している状態なので、経理部門や現地、幹部も同じものを確認しながら経営を進めていきたいという話が出ています。
 
芳賀:ぜひご一緒させてください。予測・実績への質問応答や、日々のやり取りの要約と共有など、次のステップのご支援もこれから一緒に進めていければと思っています。

データが集まっていることの価値

生成AIの活用は「AIを導入すること」ではなく、AIに渡せる状態までデータが集まり、整っていることから始まります。ユニフルーティージャパン様のケースでは、予実分析のために構築したデータ基盤が、そのまま生成AI活用の出発点になります。分断されたデータを集める仕組みづくりは、将来のAI活用への投資でもあるのです。

ユニフルーティージャパン様、貴重なお話をありがとうございました。

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