kintoneとSalesforceの統合:サポート情報をセールスの武器として使いたい

サポート部門が管理しているkintoneの問い合わせ情報を、セールスチームでも活用したい。このようなご要望は、Salesforceの導入支援において一定頻度で遭遇する課題です。
弊社はSalesforceの導入支援を主事業としているため、セールス部門へのSalesforce導入が最も多いのですが、お客様の事業がエンドユーザーを継続的にサポートする形態のビジネスの場合、すでにkintoneを問い合わせ管理に活用されているケースに出会うことが少なくありません。
「Salesforceかkintoneのどちらかにシステムを集約すれば良いのでは?」と考えるのは自然ですが、現実にはそう簡単にはいきません。Salesforceの機能をkintone上に構築しようとすると、コストや時間的な制約から難しいケースが多いでしょう。
逆に、kintoneでの問い合わせ管理をSalesforceのケース機能などで置き換えようとすると、ユーザーライセンス料の問題が発生します。kintoneユーザー全員にSalesforceライセンスを払い出そうとすると、コストが膨大になってしまい、予算的に実現できないというのは、現場でよく耳にする声です。
こうした「システム分断」の壁をどう乗り越えるか—それが今回のテーマです。
ご発注頂いたあのお客様のサービス利用はうまく進んでいるだろうか?円滑に知る方法がない。
システムが分断してしまうと、どのような問題が生じるのでしょうか。深刻なものとして、セールスチームがお客様の実際のサービス利用状況を把握できなくなることが例として挙がります。
セールスが見ているSalesforceには、お客様の実際の活用状況やサポートとのやり取りが反映されません。その結果、「利用が進んでいない兆候」や「小さなクレームの発生」といった初期段階の警告サインを見逃してしまいます。

こうした初期の段階で適切な対応ができていれば防げたはずの問題が、次第に深刻化していきます。状況が悪化した時点でようやく情報が入っても、その時にはすでに手遅れ。結果として大きなクレームに発展し、最悪のケースでは解約という事態を招いてしまうのです。
このように、システム間の情報の流れが途絶えることは、単なる運用上の不便さにとどまらず、顧客関係の維持という事業の根幹に関わる重大なリスク要因となります。
kintoneとSalesforceとを連携する既存のノーコードのETLサービスは使えないの…?
kintoneもSalesforceも国内で広く利用されているサービスなので、連携ツールも豊富にありそうなものですが、現実はそう簡単ではありません。なぜこのような状況なのか、理由を掘り下げていきましょう。
【なぜ難しいのか①】日本製SaaSであるkintoneへの対応が制限的であり、業務要件を緻密に満たす連携に対応できるETLサービスはさらに少ない

他の記事でもお伝えしている通り、kintoneは日本発のSaaSであり、グローバルでのシェアが高いとは言い難い状況です。そのため、海外製の主要ETL製品では標準コネクタの対象外となっていることが多いのが現状です。
さらに今回のケースでは、より複雑な要件が含まれています:
- 問い合わせレコードを、Salesforceの取引先に関連付けて登録したい
- 問い合わせ件数を集計し、集計結果の件数をSalesforceに連携したい
これらはSalesforce導入の受託開発ではよくある一般的な要件ですが、汎用ETLツールでは途中での集計処理や、Salesforceに特化した更新方法に対応しているケースは非常に限られています。
【なぜ難しいのか②】DWHやBIを使用するほど大掛かりなシステムは必要ない

また、kintoneに対応しているETLがあったとしても、多くの場合はデータウェアハウス(DWH)にいったんデータを格納し、BIツールで分析するといった複雑なシステム構成が必要となります。この構成に明確な欠点があるわけではありませんが、実現したい目的に比べて「必要以上に大掛かりな設計」になってしまうケースも少なくありません。
初期構築コストはもちろん、管理コストも大きな課題です。kintoneに保存される問い合わせ情報は、個人情報を含む重要な機密データです。このデータを外部に保存する際には細心の注意が必要であり、DWHがシステムとして安全でも、セキュアな設定維持には専門知識や有識者が必要となります。これは管理コスト面で無視できない負担となります。
中長期的により多くのデータを集約して分析するならDWHは有効ですが、今回のようにkintoneデータの限定的な活用を目指す場合、大掛かりな構成は必ずしも最適解とは言えないでしょう。
つながるETL “Passwork”で解決できます!!

では、ここからはPassworkで今回の連携がどのようにノーコードで実現されるのかを見ていきましょう。
弊社Praztoは2019年の創業以来、Salesforceを中心とした導入支援を主事業として300社以上のお客様をサポートしてきました。このような連携課題に対しては、主にAPI連携システムの受託開発による解決を提供してきました。当時も様々なETLサービスの検討を行いましたが、最終的に採用には至りませんでした。お客様の要件と費用感を同時に満たすサービスが存在しなかったからです。
Salesforceとkintoneとの連携についても実績がありますが、これまではすべてのケースでプログラム開発が必要でした。kintoneのWebhookをSalesforceのApex RESTで受信する、SalesforceのApexバッチ処理からkintoneのREST APIを実行して更新データを取得するなど、プログラム開発によってお客様の要件を満たすソリューションを提供してきました。
しかし、プログラム開発には明確な限界があります。後からお客様自身でシステム改修することが困難になり、初期開発費用も高額になる傾向があります。
Salesforceもkintoneもどちらもノーコードで柔軟に業務を管理できる優れたサービスです。それにもかかわらず、連携サービスが後から容易に改修できないというのは大きな矛盾です。このままでは、Salesforceやkintone側への変更もしづらくなり、結果として全体システムが硬直化してしまいます。
Passworkは、まさにこのような課題を解決するために開発されました。日本製のSaaSにも広く対応し、お客様が真に求めるEnd to Endでの連携をノーコードで実現することで、現場の課題を解決するソリューションとして設計されています。残りの章では、Passworkを使った具体的な解決方法をご紹介します。
DWHいらずのシンプルな直接データ連携

こちらが実際の連携を設定した画面です。以下の連携をノーコードでシンプルに実現できています。
- kintoneから問い合わせデータを取得
- 取得したデータをSalesforceに連携
- 取得した問い合わせデータを企業単位で集計
- 集計した問い合わせ件数をSalesforceに連携
特筆すべきは、DWHを経由せずに直接連携を実現している点です。中間層となるDWHを使わないため、構成がシンプルで管理しやすく、コスト効率も優れています。
ビジネスユーザーでも設定を完結できる画面設計
続いてご紹介するのが、ビジネスユーザーだけで完結できることをコンセプトとして設計した画面構成です。Passworkは、ビジネス部門のユーザーがIT部門に構築を依頼することなく、自部門だけで連携設定を完了できることを基準としてサービスを構成しています。このコンセプトとして、主に以下の2つの点に重きを置いています。
【ビジネスユーザー向けコンセプト①】直感的な操作性

Passworkのペルソナユーザーはビジネスユーザーを想定しているため、ITに精通していない方や、技術的なシステムサービスに慣れていない方でも直感的に操作できる設計になっています。
サービス全体の画面構成も、このようなペルソナを意識した親しみやすいデザインとなっています。こちらの画面が実際のkintoneからのデータ取得設定画面ですが、全体として直感的な操作性を実現しています。
どのコネクタを使用するのか、どのような操作を行うのか、どのアプリからデータを取得するのか—これらの選択肢が自動的にリスト表示されるため、ビジネスユーザーが画面操作に迷うことなく設定を進められます。技術的な専門用語や複雑な設定項目を極力排除し、日常業務に使うアプリケーションのような親しみやすさを追求しています。
【ビジネスユーザー向けコンセプト②】内部的なAPI仕様やSQL文の隠蔽化
「画面からパラメーターを指定してAPIを実行できるようにすればノーコードだから、これでビジネスユーザーでもデータを自由に連携できる」—このような考え方は本当に正しいでしょうか。弊社はそうは考えていません。
例えばfreee会計は外部に対してAPIを公開しており、PL(損益計算書)に関してもさまざまなパラメータでフィルタを付与できます。しかし「breakdown_display_typeパラメータを’partner’に指定すれば取引先ごとに取得できる」「partner_idで指定するのは取引先のIDなので事前に別の手段で調べてからIDを指定する」といったことが、例え画面から設定できるようになっても、果たしてビジネスユーザーが適切に設定できるでしょうか。ほぼ間違いなくできないでしょう。
この部分に対してのPassworkのアプローチをご紹介いたします。

こちらは、kintoneから取得した問い合わせの取引先ごとの件数をカウントしている画面です。kintoneの項目一覧は画面右側の選択リスト項目に自動的に一覧化されています。また、件数や最大値などのどのような集計をするのかも画面左側で一覧化されているため、ユーザーはこれらを選択するだけで設定を完了できます。

続いてこちらがkintoneの問い合わせ件数をSalesforceに連携する設定画面です。更新キーの設定も選択リスト形式で提供されており、画面左の選択リストには先ほどの集計定義が、画面右側の選択リストには項目一覧が自動的に表示されます。ユーザーはこれらを選択するだけで連携設定を完了できます。
まとめ
今回は、kintoneで管理されている問い合わせ情報をSalesforceに連携するというユースケースにおける技術的な課題と、その解決策としてのPassworkの有効性についてご紹介しました。
後半で解説したように、Passworkはビジネスユーザー向けに設計されており、直感的な操作性と内部的なAPI仕様の隠蔽化によって、技術的な専門知識がなくても無理なく操作できる環境を実現しています。「APIパラメータを設定できる」という表面的なノーコードではなく、「業務用語で直感的に操作できる」という真のノーコード体験を提供することを目的にしています。
弊社Praztoは、システム導入とシステム開発のプロフェッショナルチームです。2019年の創業以来、SIを中心に事業を拡大し、年商3億円以上の規模で300社以上のお客様にシステムを提供してまいりました。
「どのようにデータ連携を進めればよいかわからない」「システムが乱立して整理さえできていない」。そんな状態からでも、ぜひお気軽にご相談ください。弊社のコンサルタントが要件を整理し、最適な連携方法をご提案。そしてPassworkを活用した連携構築まで、一気通貫でご支援いたします。
データ連携でお悩みの方は、ぜひ弊社までお問い合わせください。
