FTP連携 ── 取引先が毎晩置いていくCSV・ファイルを、人手なしで取り込む/届ける

2026.07.07
FTP連携 ── 取引先が毎晩置いていくCSV・ファイルを、人手なしで取り込む/届ける

クラウド全盛のいまも、企業間のデータ授受はFTPサーバーが現役です。卸への発注、ベンダーからの受注、決済代行からの売上明細 ── 多くが「決まった時刻に、決まったフォルダへ、CSVやファイルが置かれる」という運用で回っています。問題は、その先。誰かが毎日ログインしてダウンロードし、中身を取り込む当番作業が残ったままです。PassworkのFTPコネクタは、CSVを列単位で構造化して取り込むことも、PDFや画像などの生ファイルをそのまま受け渡すことも、生成したファイルをFTPへ納品することもできます。レガシーなファイル授受を、Salesforce・BigQuery・Tableauへつなぐデータ連携(ETL)に変えるのが、この記事のテーマです。

01 FTPとは ── なぜ今もデータ授受の主役なのか

FTP(File Transfer Protocol)は、ネットワーク越しにファイルをやり取りするための、もっとも古くから使われている通信方式のひとつです。サーバー上にフォルダがあり、そこへファイルを「置く(アップロード)」「取りに行く(ダウンロード)」というシンプルな仕組みで、特定のサービスに縛られず、相手のシステムが何であっても成立します。

この「枯れていて、相手を選ばない」という性質こそが、FTPが今も使われ続ける理由です。卸・小売のEDI(電子データ交換)、決済代行や金融機関からの明細、製造業の生産実績、広告代理店や調査会社からのレポート ── 会社をまたいでデータを渡す場面では、いまだにFTPサーバーが共通の置き場になっています。新しいAPIを相手に用意してもらえない取引では、FTPが唯一の現実解であることも珍しくありません。

FTPサーバーに置かれるデータは、大きく2種類に分かれます。ひとつは、行と列を持つCSVのような構造化データ(受注一覧、商品マスタ、売上明細など)。もうひとつは、PDF・画像・帳票・固定長ファイルといった生ファイル(請求書、検品写真、納品書など)です。前者は「中身を読んで取り込みたい」、後者は「ファイルのまま別の場所へ渡したい」── 同じFTPでも、扱い方が異なります。

よく聞く現場の声

「毎朝9時前に、担当者がFTPにログインして、前日分の受注CSVを2〜3ファイル落とすんです。それをExcelで開いて、基幹システムの取込フォーマットに整えて、アップロード。15分の作業ですが、その人が休むと止まる。月初の繁忙期は、これが一日に何度も発生します」

分析や業務システムへの取り込みは進化したのに、その入口にある「FTPからファイルを取ってくる当番作業」だけが、人の手に取り残されています。ここを仕組みに移せれば、データの流れは入口から出口まで一本につながります。

FTPが今も企業間データ授受の主役であり続ける理由を示した図

02 PassworkのFTPコネクタでできること(操作カタログ)

PassworkのFTPコネクタは、FTPサーバーのホスト・ポート・ユーザー名・パスワードを登録するだけで接続できます。そして、上で述べた「構造化データ」と「生ファイル」の両方を扱えるよう、用途の異なる操作を備えています。実際に定義されている操作は次のとおりです。

操作 区分 何ができるか
CSVファイル取得
csv_ftp_read
入力 / 取得 FTP上の指定ディレクトリにあるCSVファイルを一覧・フィルタし、レコード(行)の配列として取り込みます。ファイル名を正規表現で絞り込み(例:当日日付を含むファイルだけ)、更新日時で「前回以降に追加されたファイルだけ」を拾えます。先頭行をヘッダーとして列名に使うか/使わないか(headerMode)、取り込む列を選ぶ(fields)、取り込み元のファイル名や取り込み日時を各行に付与する(includeFileName / includeIngestedAt)といった、構造化取込に必要な制御が揃っています。
ファイル取得
file_ftp_read_file
入力 / 取得 指定ディレクトリのファイルを中身を解釈せず、ファイルのままダウンロードします。返ってくるのはファイル名・作成(更新)日時・ファイル本体(Base64)。CSVに限らず、PDF・画像・帳票・固定長など、あらゆる形式の生ファイルを後続ノードへ渡せます。こちらもファイル名の正規表現・更新日時での絞り込みに対応します。
ファイル書き込み
file_ftp_write_file
出力 / 書込 入力レコードのマッピングからファイル名とファイル本体(Base64 または UTF-8文字列)を受け取り、FTPサーバーへアップロードします。writeMode=create_only を指定すれば、同名ファイルが既にある場合は上書きを拒否でき、納品済みファイルの取り違えや二重上書きを防げます。

整理すると、FTPコネクタは「構造化取込(CSVを行・列として読む)」と「ファイル授受(生ファイルを運ぶ)」の両刀です。中身を分析や業務システムに流したいならCSV取得を、ファイルそのものを別の置き場へ動かしたいならファイル取得・書き込みを使う ── 同じFTPサーバーに対して、目的に応じて使い分けられます。

大事なポイント

FTPコネクタの肝は、「前回以降に増えたファイルだけ」を更新日時で拾えることと、ファイル名を正規表現で絞り込めることです。これにより「毎朝、当日分の受注CSVだけを取り込む」「月次レポートのファイルだけを抜く」といった、人が目で見て選んでいた判断を、そのままフローのルールにできます。スケジュール実行と組み合わせれば、当番作業は丸ごと自動になります。

PassworkのFTPコネクタでできること(CSV取得・ファイル取得・ファイル書き込みの3操作)を整理した図

03 実務ユースケース ── FTPを現代のデータ基盤につなぐ

FTPは「データの置き場」にすぎません。価値が生まれるのは、その置き場を分析基盤や業務システムにつないだ瞬間です。Passworkのアグリゲーターとしての強みは、FTPで受け取ったデータを、そのまま他のコネクタへ受け渡せる点にあります。

① 取引先の受注CSVを、Salesforceへ自動で取り込む(FTP × Salesforce)

卸売業や受託製造業では、得意先が毎晩FTPサーバーへ受注CSVを置いていく運用がよくあります。これまでは営業事務がそのCSVを落とし、見ながらSalesforceに手入力 ── という流れでした。

FTPコネクタのCSVファイル取得を入力に置き、ファイル名を当日日付で絞り込んで前夜分だけを取り込み、出力にSalesforceコネクタを置いて取引・商談レコードへUpsert(あれば更新・なければ作成)します。スケジュールを毎朝7時に設定すれば、始業前には当日分の受注がSalesforceに反映済み。入力のincludeFileNameでどのファイル由来かを各レコードに残しておけば、後から照合もできます。Salesforce側の外部キーUpsertの詳しい挙動は、Salesforce連携 ── 商談・顧客データをSOQLで取り出し、外部キーでUpsertまで自動化するで掘り下げています。

② FTPに溜まる売上明細を、BigQueryに集約してTableauで可視化(FTP × BigQuery × Tableau)

決済代行や複数店舗のPOSが、日次でFTPへ売上明細CSVを吐くケースです。1日ぶんずつバラバラに置かれるこのデータは、そのままでは分析になりません。

FTPのCSVファイル取得で「前回取り込み以降に追加されたファイルだけ」を更新日時フィルタで拾い、BigQueryへ追記していきます。取り込み日時(includeIngestedAt)を各行に付けておけば、いつ取り込んだ分かが台帳として残ります。蓄積されたBigQueryのテーブルをTableauにつなげば、店舗別・期間別の売上が常に最新の状態で可視化されます。FTPという古い入口から、クラウドDWHとBIまでを一本のフローでつないだ形です。単なるファイル転送ではなく、複数サービスを束ねて意味のあるデータの流れにする ── これがアグリゲーターとしての価値です。

③ 生成したレポートを、取引先指定のFTPへ納品する(出力方向)

逆方向も重要です。自社のデータ基盤で集計したレポートや、システムが生成した帳票PDFを、取引先が指定するFTPフォルダへ納品しなければならない場面は多くあります。

前段のノードでCSVや帳票ファイルを用意し、FTPコネクタのファイル書き込みで、ファイル名とファイル本体をマッピングしてアップロードします。writeMode=create_only を効かせておけば、同名ファイルが既にある場合はアップロードを止めるため、納品済みファイルを誤って上書きする事故を防げます。請求データのように「一度出したら触らない」性質のファイルを、安全に受け渡せます。

Praztoの考え方

FTP連携でいちばん効くのは、転送そのものより「人が目で見て選んでいた判断」をルールに落とすことです。どのファイルを・いつ・どこへ ── これを毎回同じ条件で確実に回せると、当番作業が消え、属人化していた手順が組織の資産としてフローに残ります。レガシーな受け渡しほど、仕組みに移したときの効果が大きいのです。

04 まとめ:レガシーな受け渡しを、止まらない配管に

FTPは古い技術ですが、企業間のデータ授受の現場では今も主役です。新しいAPIに置き換えられない取引が多いからこそ、「FTPに置かれたものを、人手なしで取り込む/届ける」仕組みの価値は、これからも下がりません。

PassworkのFTPコネクタは、

  • CSVを行・列として構造化取込(ファイル名・更新日時フィルタ、列選択、ファイル名/取り込み日時の付与)
  • 生ファイルをそのままダウンロード(PDF・画像・帳票など形式を問わず受け渡し)
  • ファイルをFTPへアップロードcreate_onlyで上書き事故を防ぐ納品)

を1つのコネクタで担い、さらにSalesforce・BigQuery・Tableauなど他のコネクタと束ねることで、FTPという入口を現代のデータ基盤につなぐ配管になります。

毎朝のFTP当番を、仕組みに変える。

取引先が置いていくCSV・ファイルを、人手なしで取り込み、必要な場所へ届ける。古い受け渡しを、止まらないデータの流れに。

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