マーケティングの効果分析。本当に自社のターゲット層に対して実施できていますか?
マーケティングツール、MA、CRM、効果分析ダッシュボード。さまざまなツールや計測サービスが溢れる昨今、マーケティングの効果分析として、Webページのさまざまな指標を計測して効果分析を行っている企業様も多いのではないでしょうか。
PVやユーザー数、セッション数などを計測しているものの、本当に行っている分析として今ひとつ腹落ちしていない人も多いのではないでしょうか。
その腹落ちしない理由の一つが、計測対象全体に、自社のターゲット層ではない人たちが含まれてしまっている点です。これはよくある話です。

PV数は上がっている。訪問ユーザー数は上がっている。だけれども具体的な取引数は上がっておらず、売上も伸びていない。これは本当によく聞くお悩みかと思います。
さまざまな原因があるかと思いますが、その中の一つが、そもそもマーケティング施策がターゲット層に対して実施されていないというものです。一般的に、ターゲット層ではない方が大多数であることの方が多いかと思います。そのようなターゲット層ではない方にマーケティング施策を行ってしまい、PV数やユーザー数は上がっているけれども、それが取引にも売上にもつながっていないという状況は多くあり得ることなのではないでしょうか。
広告費用はとても高額。だからこそ高い費用対効果が求められる
マーケティング活動に費やされる広告費用はとても高額です。だからこそ費用対効果が求められ、そもそもその広告はターゲット層に届けられているのかという観点は非常に重要な観点です。配信日時や色などの要素も重要でないと言ったら嘘になりますが、そもそもの事業計画に即したターゲットであり、売上につながるターゲットに向けて効果を発揮しているかどうかは、配信日時や色などよりも重要になるのは明らかです。

では次に課題になるのが、どうやってそれを実現するかです。昨今はCRMサービスも普及しており、そのCRMサービスで顧客の付属情報は細かく管理されており、取引実績も同じCRMサービスで管理されることもとても多いです。ではこのCRMの顧客セグメントとマーケティング活動の効果測定が紐づいているかとなると、紐づけられておらずバラバラの状態であるという方がとても多いように考えています。
ここからは、わかりやすい例として、リピート性が高く、継続的な取引の発生が重要なビジネスを考えましょう。このバラバラの状態を、具体的なシステムとして考えていきましょう。

まずつながっていないので、広告やMAだけでの分析をするパターンです。全体のPV数や流入数、ユーザー数はわかりますが、それがターゲットに限定するとどうなるかがわかりません。PCなのかモバイルなのか、地域はどこか等は分析できても、自社サービスの売上実績が高い層にリピート施策が刺さっているかどうかの識別ができません。

次が逆のパターンです。CRMのみでのデータ分析です。もちろん顧客属性を管理しているので、それぞれの顧客の売上実績は管理できています。しかし、商談や取引が発生してからの計測にとどまっているので、それ以前の管理や計測ができていないため、マーケティング施策やWebサイトの効果検証になっていないというのが現状です。

ですので連携して管理をしましょうというのが結論です。連携することにより、CRMで管理している顧客セグメントごとに、売上だけでなくWeb行動、マーケティング施策の効果の検証ができるようになるというのが、本記事の基本的な考え方です。
以降の記事では、これをPassworkを使用して実現していく様子をご説明していきます。
Passworkを使ってデータを統合し、顧客セグメントごとに効果を分析する

ここからは、Passworkを使って、先ほどの課題を解決していくことをご紹介していきます。先ほどの続きとして、リピート性が高く、継続的な取引の発生が重要なビジネスを考えましょう。
以下のステップでシステムを構築していきます。
- ①データを集める
- ②データをつなぐ
- ③データを可視化する
- ④さらなる一手として、ダッシュボードで絞り込んだ状態でマーケティング施策を実施する
【構築ステップ】データを集めてつなぐ
まずはデータを集めてつなぐところです。以下が弊社がこのような場合に構築するシステムの例なのですが、以下の2点がポイントです。
- 関連サービスのデータをデータレイク、データマートに集約する
- それぞれのデータを連携させる

まずBigQuery、Snowflake、Databricksといったサービスにデータを集約します。データの結合や加工、集計がしやすくなるためにこのような構成にしています。「隣のシステムのデータ」では結合は難しいが「隣のテーブルのデータ」であれば結合が簡単になる、とお客様によく説明をいたしますが、まずはSQL等の手段で簡単に接続できるようにいたします。
続けて、データをどうつなげていくかですが、Account EngagementやHubSpotなどのMAサービスは、Cookieが払い出されますので、これをGA4のカスタムディメンションなどに連携して、MAとGA4を連携させていきます。続いて広告の場合は、最も簡易的なやり方としてはutmパラメータというものがクリックした際に付与されていきますので、このURLをGA4やMAで計測することによって連携させていきます。
これをデータレイクに連携させた後に結合させて、データマートに加工していきます。
【構築ステップ】データを可視化する
続けてデータの可視化です。前章により、Tableauから接続できる箇所に、連携された状態でデータが集約されたので、これを元にTableauで可視化をしていきます。


こちらが今回ご紹介する分析ダッシュボードの例です。CRMで管理されるような顧客セグメントと、Webマーケティングの指標などが同一のダッシュボードに配置されているのがわかるかと思います。
画面上部で顧客セグメント一覧が表示されており、クリックすると瞬時に下部のメトリクス一覧がフィルタされます。これにより、それぞれの顧客セグメントごとにマーケティング施策がうまくいっているのか、顧客セグメントと連動しながら、離反しそうなお客様の一覧の絞り込みを実現できることがよくわかるかと思います。
【構築ステップ】ダッシュボードで絞り込んだ状態でマーケティング施策を実施する
ここまでで、データの分析までができるようになりました。ただ、分析だけで終わってしまうのは、少しもったいない気がしませんか。先ほどの「顧客抽出ダッシュボード」のように、対象顧客を効果的に絞り込んでいるのであれば、それをそのままメール配信や分析に使用したいと思いませんか。
Tableauには、このように絞り込んだ結果をそのままカスタム処理に使用する仕組みとして、Extension APIというものが用意されておりますので、このような処理を構築することが可能です。ただ、Extension APIをそのまま実装しようとすると、裏側にサーバーを立てたり、JavaScriptを使用した高度なプログラム処理を構築しなければなりません。
Passworkは、このような高度なプログラムを記載することなく設定だけで、絞り込み結果をそのままETLに連携する機能「Passwork Action」を持っています。

Passwork Actionであれば、この図のように、特定の対象者を絞り込んでHubSpotのリストに連携するといったことが、直感的な画面設定だけで可能です。これにより、ダッシュボードを分析の用途だけでなく、マーケティング施策のPDCAサイクル全体を管理するプラットフォームとして活用することが可能です。

こちらがここまでの流れをまとめた図になります。顧客セグメントごとの円滑な効果分析ができるようになり、それだけでなくそこからマーケティング施策を円滑にできるようになるため、PDCAサイクル全体をスムーズに実施できるようになるというものです。
まとめ
本記事では、マーケティング効果分析における根本的な課題と、その解決方法についてご紹介してきました。
多くの企業が直面している課題は、PVやユーザー数などの指標は向上しているものの、実際の売上につながっていないという状況です。その原因の一つが、計測対象にターゲット層ではない人たちが含まれてしまっていることにあります。高額な広告費用を投じているからこそ、本当にターゲット層に向けて効果を発揮しているかどうかを正確に把握することが重要です。しかし、CRMで管理されている顧客セグメントとマーケティング活動の効果測定が紐づけられておらず、バラバラの状態で管理されているケースが多く見られます。
この課題を解決するため、Passworkを活用した統合的なアプローチをご提案いたします。データの収集・連携から可視化、そして実際のマーケティング施策の実行まで、一連のプロセスを一つのプラットフォームで管理することが可能です。
特にPasswork Actionにより、ダッシュボードで絞り込んだ対象顧客を直接マーケティング施策に活用できるため、分析から実行までのPDCAサイクル全体をスムーズに回すことができるようになります。
真のターゲット層に向けた効果的なマーケティングを実現し、投資対効果を最大化するためのソリューションとして、Passworkはいかがでしょうか。